映画(その2)~攻殻機動隊

~情報セキュリティの観点からみる映画 攻殻機動隊編~

セキュリティ・エグゼクティブ・ディレクター 中島浩光

さて、以前に「マイノリティ・リポート」という映画を題材にして、その中の情報セキュリティに関する場面を掘り下げてみました。で、今回はその第2弾です。と言いつつ、今回は映画化もされましたが、原作は漫画であり、アニメ作品である「攻殻機動隊」というSF作品が素材になります。

2016年の官民連携サイバーセキュリティ月間において、「攻殻機動隊S.A.C.」とコラボレーションした特設サイトも出来たりしています。

私自身、この作品のファンであるため、コラムの方向がマニアックになってしまったら、ごめんなさい。

電脳化と義体

作品の概要とかあらすじはWikipediaでも調べてみてください。さて、この作品の中での重要な技術要素が「電脳化」になります。科学的な考証は難しいのでここでは省きますが、人間の脳を直接ネットワークに接続することが可能となり、他との通信が可能とする技術になります。そのため、電脳化した場合には人間自身がネットワークに繋がった端末になることになります。

義体は、身体の一部だけの義手・義足レベルですが、この作品世界では脳以外は内臓も含めて全て義体とする全身義体化や、戦闘サイボーグ的なものまで各種の義体が登場します。

実際、本作の主人公含め、主要な登場人物の多くは電脳化しており、また、義体化されていたりもします。

また、全身義体化についていえば、脳以外全て義体化することが可能であるため、例えば幼少期に事故にあい、結果的に全身を義体化した場合、年齢に合わせて、外見的に成長しているように義体を交換していく、というようなことも行われているようです。

また、義体が作成可能ということは、外見的には人間と変わらないロボット(アンドロイド)も多く使われているようです。

本人であることをどうやって証明するのか?

さて、電脳化および義体化が進んだ場合に、情報セキュリティ的に考えると「Aさんが本当にAさんであることをどうやって確認するか?」という本人確認の問題が出てきます。そして、これは非常に難しい問題なのです。本人確認の手段の種類としては3つがあります。

  • What You Know(WYK):知るもの。パスワード、暗証番号、秘密の質問、等
  • What You Have(WYH):持つもの。身分証明書、携帯電話、電子証明書等
  • What You Are(WYA):そのもの。指紋、指静脈、虹彩、等

この作品世界においては「電脳化しているか、いないか」「義体化の程度」によっていろんな人間が存在しているため、何を使って本人確認を行うか?が問題になります。

また、本人確認をどのような場面で行うかで、利用可能な手段も変わってきます。

例えば、ネットに接続するという場面での本人確認を考えてみると、

①生身の人間

生身の人間、つまり、電脳化が行われず、また、義体化もまったくされていない、という人がいます。この場合、ネットにつながるにあたっては、PC等のデバイスを利用することになりますので、「知るもの」「持つもの」「そのもの」の3種類のうちどれかを使って、本人確認を行うことになります。

②電脳化されていないが、一部義体化した人間

生身の人間と同じく、ネットへの接続に当たってはデバイスが必要になります。ただし、例えば、腕全体が義手である場合、その人に対する認証手段として指紋は利用できません。そのため、その人には「知るもの」もしくは「持つもの」のどちらかを利用するか、義体化されていない部分を利用した「そのもの」を利用する必要があります。

③電脳化されていないが、全身義体化した人間

作品世界では全身義体化する場合、電脳化されないと義体の制御ができないため電脳化が必須になるので、このケースの人間はいません。が、ネットへの接続機能が故障した場合には、デバイスを利用してのネットへの接続になります。その場合、全身義体は交換可能ということを考えると義体化された部分を利用する「そのもの」の手段は利用できません。したがって、「知るもの」「持つもの」、義体化されていない「脳の何か」を利用した「そのもの」での本人確認を利用することになります。

④電脳化された人間(義体化の程度は問わない)

電脳化した場合、自分自身が端末になります。本人確認手段としては、生身の人間と同じく、「知るもの」「持つもの」「そのもの」の3種類のどれかが考えられます。しかし、自身がネットに直接接続されるデバイスであるため、眼球や指紋を利用した生体認証の場合、それらの情報の入力ができないため非常に利用しにくいと考えられます。したがって、電脳化した人間での「そのもの」を利用した本人確認は「脳の何か」を利用したものになります。

というように考えられます。

ということで、「脳の何か」というのが重要になります。まあ、未来を舞台にしたSF作品であり、技術的解決ができているという前提になりますし、その「脳の何か」が作品の重要な要素でありテーマの一つにもなっているようです。詳しくはここでは書きません。

また、ここに書いた以外にも情報セキュリティ/サイバーセキュリティとの関連は大きい作品になりますので、個人的には「教科書」ではありませんが、情報セキュリティ/サイバーセキュリティの分野としては、「○○省推薦作品」くらいの作品だと思うので、皆さん一度見た方がよいと思います。

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